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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠ 
「これだけ集めるのは大変だったでしょ」
「まあ、な。仕事で海外に行ったときとか、国内でも仕事柄、あちこち行く機会があるから、そういうときに珍しい時計を探すんだ」
 広告代理店といえども、様々な部署がある。直輝は営業だから、出張は多いのは確かだ。
「それにしても、よく集めたものねぇ。よほど時計が好きじゃないと、これだけ揃えるのは無理だわ」
「京都に行ったときに、凜工房も訪ねたことがあるんだ。何しろ、あの工房は時計に興味のある人間にとっては一度は脚を運んでみたい場所だからな。けど、そこの職人っていうのがまだ二十代の若さだっていうのに、頑固爺ィも顔負けの偏屈さで、何度訪ねても逢ってくれないんだ。結局、三度訪ねても逢えずじまいで、それきり、もう諦めてた」
 直輝によれば、凜太という職人は基本、特注、個別注文でしか仕事は受けないという。一般店舗で売るために時計を作るということはまずないので、紗英子が時計店で凜太の作った時計を見つけたというのは奇蹟に等しいらしかった。
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