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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠ 
「どういう経緯で凜太の作った時計がその店にあったかは判らないが、まぁ、ラッキー中のラッキーだったってことだな」
 よほど嬉しいらしく、直輝は左腕に時計を填めたままで、今も撫でさすっている。
「だから、本当に嬉しいよ、ありがとな」
 これだけ歓んで貰えれば、贈る側も甲斐があったというものだ。正直、五万の出費はきつかったけれど、直輝がこれだけ手放しで歓ぶのなら、惜しい出費ではない。あのお金はいつか有喜菜と二人で韓国旅行に行こうと思い貯めていたものだ。
 韓流ドラマを見て韓国ファンになった紗英子は是非、一度、韓国を訪れてみたかった。しかし、直輝はそういうものには全く興味がなく、有喜菜に打診したところ、独身の身軽さもあり、一緒に行くことを快諾してくれた―のだが。
 もう、有喜菜と海外旅行なんてすることもないだろう。夫と有喜菜の間に、紗英子の知っている以上のものが存在すると知った今、有喜菜とは今度、あまり拘わりたくはなかった。判っている。二十年以上も昔、互いに幼かった子どもの頃の出来事でいちいち目くじら立てても仕方ない。
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