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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「で、何なんだ、その大切な話ってのは」
「赤ちゃんの話」
 これは、かなりの不意打ちだったらしい。ここまで愕いた夫の顔を紗英子は初めて目の当たりにした。他のことが話題であれば、きっと笑っていただろう。
 しかし、今夜は笑うどころではなかった。
「赤ん坊? 紗英子、お前、一体、何を言ってるんだ? お前は手術をして―」
 流石に最後までは言えなかったのだろう。直輝は中途半端に口をつぐみ、紗英子の正気を疑うかのように見つめてきた。
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