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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
 直輝は呆れたように首を振った。
「俺はどうも紗英子の言う意味がよく判らん。お前はもう子宮を取ってしまったのに、どうやって子どもを生むっていうんだ?」
「だから、私が生むわけじゃないの。私の代わりに、誰か別の女性に生んで貰うのよ」
 勢い込んで言った妻を、直輝は唖然として見つめた。
「何だ、それは。お前、何を夢みたいなことを言ってる」
「夢じゃないの。直輝さんも聞いたことくらいはあるでしょ。代理出産といって、自分たちの子どもを別の人の子宮に戻して育てて生んで貰う方法があるのよ」
「―」
 しばらく直輝から声はなかった。
「タレントの幡多ふゆ香さんが一ヶ月ほど前に、代理出産で生まれた双子の赤ちゃんを連れて帰国したニュース、今朝のテレビで見たの。だから、私たちも―」
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