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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第6章 【後編】 ♦RoundⅤ(覚醒)♦
 いよいよ直輝の精子提供が必要な場面が到来した時、当の直輝は憮然とした様子だった。
―お前、本当にやる気なのか?
 恐らく、それが夫からの最後通告だったのだろう。しかし、紗英子は気づかないふりをして、頷いた。
―もちろんよ、ここまでやったんだもの。最後までやらなかったら、きっと後悔すると思うし、私はやるわ。
 確かに、それは本音でもあった。賽(さい)は既に投げられたのだ。今、ここで止めることはできなかった。
 直輝は紗英子の決意が固いと見たのか、無表情に言い放った。
―約束だから、一度は協力する。ただし、二二度目はないぞ?
―判ったわ。これで成功しなければ、私も諦める。
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