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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
 しかし、反応がここで出なくても、非常に早期判定のために稀に反応が出ない場合もあるということで、更に一週間後に受診して尿検査を行うという説明を受けていた。
 この二週間、有喜菜はここのクリニックから紹介された地元N町の個人病院に毎日通い、受精卵を着床させるための注射を受けていた。これは毎日、二本ずつ打つもので、ホルモンを身体に取り込むことによって妊娠を促し、継続させる効果を期待する。
 流産しやすい体質の場合も流産止めの治療としてこの注射を行うことがあった。
 尿検査自体はすぐに終わる。有喜菜は直に診察室に戻ってきて、二人は再度、待合室で検査結果が出るのを待った。更に三十分が流れた。この時間も紗英子にとっては、果てしもなく長かった。
「矢代さん、どうぞ」
 看護士から呼ばれて有喜菜と二人で診察室に入るなり、満面の笑みで医師が出迎えた。
「おめでとうございます。妊娠されていますね」
 妊娠したのは有喜菜のはずなのに、医師は真っすぐ紗英子を見つめて祝福の言葉を述べた。それは全く不思議な気持ちであった。
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