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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
頑張るも何も、出産は自然のものでしょう。運が良ければ流れずに生まれてくるだろうし、そうでなければ―」
「止めて!」
 紗英子は思わず悲鳴のような声を上げていた。
「やっとやっと恵まれた赤ちゃんなのよ。お願いだから、そんな不吉なことを言わないで。しかも、この子はあなた自身の子どもではないけれど、あなたの中で育って生まれてくるのに」
 はっきりと言葉に出して言わなかったが、血は引かずとも自分の子宮で育てる赤ん坊に対して、どうしてそこまで無情な物言いができるのか? 言外にそんな想いを込めたつもりだった。
 有喜菜は相も変わらず静かすぎる瞳で紗英子を見つめた。
「別に悪気があって言っているわけじゃないのよ。紗英、最初にも言ったはずでしょう。私は妊娠できる身体ではあるけれど、これまで一度も元気な子どもを出産した経験はないの。だから、幾ら妊娠が判ったからといって、そんな風に手放しで歓ぶのはどうかと思う。歓びが大きければ、その分、落胆や哀しみも大きいわ。私はそのことを言っているだけ」
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