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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「でも、それはクリニックの先生も大丈夫だろうって」
「そうね。確かに院長も担当医も、習慣性流産とはいえないとは言った。でも、三度あったことが四度目もないとは言えないでしょ」
「もう、止めて。そんな不吉なことばかり考えていては、お腹の赤ちゃんにも影響してしまうわ」
 折角、この世に生まれ出ようとして今、この瞬間にも目覚ましい勢いで成長している小さな生命。その生命を宿しながら、平然と口にする有喜菜の心情が理解できない。
「とにかく、これから出産まで身体には気をつけてね。あなたに何かあったらと思うと、私、どうしたら良いか判らない」
 また涙が零れそうになって言うと、有喜菜は薄く微笑した。
「そうね、せいぜい、あなたの赤ちゃんのために気をつけるとするわ」
 そのどこか投げやりにも聞こえる言葉には気づかず、紗英子は有喜菜を抱きしめた。
「本当にありがとね。有喜菜のお陰で、私、漸く長年の夢が叶いそうよ。ママになれるのね」
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