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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
 昨日の紗英子はまるで脚が地についていないようで、何を話していても上の空で夢の続きを見ているかのような節があった。
 一夜明けて、その歓びも鎮静して、今度は逆に不安ばかりが生じてきているのだろうか。それも理解できないわけではないが、それにしても、これから出産までずっと紗英子に監視され続け、私生活のあれこれにまで干渉されるのでは堪ったものではない。
 それでも我慢はしていたのだが、あまりにしつこいので、つい有喜菜も堪りかねて強く言ってしまった。
―そんなに私のやることなすことが気に入らないのなら、私ではなく、あなたが子どもを生めば良いじゃない。
 流石に今、思い返しても、あれは言い過ぎだと思う。紗英子がどんな想いで手術を受けたかは部外者の有喜菜だとて想像はできる。女にとって子宮を取るというのは一大事に他ならない。有喜菜自身は別に切ないくらいに子どもを欲しいと思ったことはないけれど、人によって考えは違うだろう。
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