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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
それはもちろん良いことに違いない。とはいえ、幾ら医学が進歩したからといって、本当にやっても良いことなのだろうか。有喜菜の感覚からすれば、他人の腹を借りて自分の子を育てて産ませる―などというのは、はるかに想像の限界を越える行為であった。自分が紗英子の立場であっても、まずやらない。
でも、結果として有喜菜は紗英子の申し出を受け容れ、代理母となることに同意した。それはとりもなおさず、代理母出産という行為を容認したことにはなりはしないか。
有喜菜は判っていた。自分が代理母になることを承知したのは、別に紗英子の必死さに打たれたわけでも、報酬に眼がくらんだわけでもない。確かに紗英子が提示した法外な報酬は魅力的ではあったけれど、それだけで引き受けたりしかなかった。
有喜菜がこの話を受け容れた真の理由―、それは紗英子の夫直輝の存在であった。もちろん、直輝は紗英子の夫だ。これから先、間違っても、直輝と有喜菜の人生が交わることなどないだろう。
でも、結果として有喜菜は紗英子の申し出を受け容れ、代理母となることに同意した。それはとりもなおさず、代理母出産という行為を容認したことにはなりはしないか。
有喜菜は判っていた。自分が代理母になることを承知したのは、別に紗英子の必死さに打たれたわけでも、報酬に眼がくらんだわけでもない。確かに紗英子が提示した法外な報酬は魅力的ではあったけれど、それだけで引き受けたりしかなかった。
有喜菜がこの話を受け容れた真の理由―、それは紗英子の夫直輝の存在であった。もちろん、直輝は紗英子の夫だ。これから先、間違っても、直輝と有喜菜の人生が交わることなどないだろう。