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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
「もしもし、営業課の矢代ですが」
―お忙しいところ、申し訳ありません。
きびきびとした話し方には嫌みがなく好感が持てる。小泉満奈美と話した後なので、余計にそう思える。女特有の性(さが)をこれでもかと言わんばかりに全面に押し出した態度は、嫌みでしかない。
―私のことを憶えていらっしゃるでしょうか。N中で一緒だった宮澤と申します。
宮澤―。直輝は一瞬、ポカンとし、破顔した。
「有喜菜?」
―そう、私、宮澤有喜菜。憶えてます?
「憶えてるも何も、忘れるわけないだろ。懐かしいな。確か、いちばん最後に逢ったのは」
直輝が記憶の糸を手繰り寄せようとしている中に、有喜菜がさらりと言った。
―六年前のN中の同窓会のときよ。
「おう、そうだ、そうだった」
直輝は幾度も頷いた。
「どうした? 急に」
―ちょっとね。昨夜、久しぶりに中学のときの卒業アルバムを見てたら、直輝のことを思い出しちゃって。あ、今はもう流石に呼び捨てはまずいかしら。
―お忙しいところ、申し訳ありません。
きびきびとした話し方には嫌みがなく好感が持てる。小泉満奈美と話した後なので、余計にそう思える。女特有の性(さが)をこれでもかと言わんばかりに全面に押し出した態度は、嫌みでしかない。
―私のことを憶えていらっしゃるでしょうか。N中で一緒だった宮澤と申します。
宮澤―。直輝は一瞬、ポカンとし、破顔した。
「有喜菜?」
―そう、私、宮澤有喜菜。憶えてます?
「憶えてるも何も、忘れるわけないだろ。懐かしいな。確か、いちばん最後に逢ったのは」
直輝が記憶の糸を手繰り寄せようとしている中に、有喜菜がさらりと言った。
―六年前のN中の同窓会のときよ。
「おう、そうだ、そうだった」
直輝は幾度も頷いた。
「どうした? 急に」
―ちょっとね。昨夜、久しぶりに中学のときの卒業アルバムを見てたら、直輝のことを思い出しちゃって。あ、今はもう流石に呼び捨てはまずいかしら。