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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
―苦しい。誰か助けて!
一面を覆い尽くす漆黒の闇の中で、紗英子は懸命にもがいていた。自分を取り巻くのはただ黒い霧ばかりで、手探りで先に進もうとしても、一体、前進しているのか後退しているのかすら判らない。
自分はここで何をしているのだろう。焦燥にも似た想いで一杯になり、狼狽え周囲を見回してみても、絶望を宿した瞳に映るのは、ただ黒い靄(もや)のようなものばかりで。
よりいっそう深い落胆に囚われつつ、紗英子は眼をこらして何とか活路を見出そうとする。
と、その時。スウッとあたかも海が割れてひとすじの道が現れるかのように、眼前の黒霧が晴れていった。何事かと前方を更に凝視していると、その中、あれほど立ちこめていたのが嘘のように、からりと晴れた前方に誰かがいるのに気づく。
―ねえ、そこにいるのは誰なの? お願い、私を助けて。
紗英子は声を振り絞る。
―苦しい。誰か助けて!
一面を覆い尽くす漆黒の闇の中で、紗英子は懸命にもがいていた。自分を取り巻くのはただ黒い霧ばかりで、手探りで先に進もうとしても、一体、前進しているのか後退しているのかすら判らない。
自分はここで何をしているのだろう。焦燥にも似た想いで一杯になり、狼狽え周囲を見回してみても、絶望を宿した瞳に映るのは、ただ黒い靄(もや)のようなものばかりで。
よりいっそう深い落胆に囚われつつ、紗英子は眼をこらして何とか活路を見出そうとする。
と、その時。スウッとあたかも海が割れてひとすじの道が現れるかのように、眼前の黒霧が晴れていった。何事かと前方を更に凝視していると、その中、あれほど立ちこめていたのが嘘のように、からりと晴れた前方に誰かがいるのに気づく。
―ねえ、そこにいるのは誰なの? お願い、私を助けて。
紗英子は声を振り絞る。