この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
しかしながら、数十メートル先にいるはずの人間たちは、いっかな紗英子に気づく風もない。
人間たち?
紗英子は茫然として前方を見つめた。あそこにいるのは一人ではなく、二人だ。それにしても、あの人たちは何をしているのだろう。疑問に思いながら伸び上がるようにして見つめている中に、突如としてテレビ画面がクローズ・アップするように、一つの光景が大きく迫ってくる。
その二人は男と女だった。男の顔は―。
そこで、紗英子は背中に氷塊を入れられたように、ゾワリと身体中の膚が粟立つのを憶えた。
男の顔は紛れもなく夫直輝のものではないか! 更に背中に届くロングヘアーしか見えないが、あの均整の取れた抜群の体躯を有しているのは。あそこまで並外れた容姿を持つ女を少なくとも紗英子は一人、知っている。
そう、小学生時代からの親友宮澤有喜菜である。直輝がこちらを向いているのに対し、女の方は背を向けているので、紗英子の方からは容貌までは判別がつかない。
人間たち?
紗英子は茫然として前方を見つめた。あそこにいるのは一人ではなく、二人だ。それにしても、あの人たちは何をしているのだろう。疑問に思いながら伸び上がるようにして見つめている中に、突如としてテレビ画面がクローズ・アップするように、一つの光景が大きく迫ってくる。
その二人は男と女だった。男の顔は―。
そこで、紗英子は背中に氷塊を入れられたように、ゾワリと身体中の膚が粟立つのを憶えた。
男の顔は紛れもなく夫直輝のものではないか! 更に背中に届くロングヘアーしか見えないが、あの均整の取れた抜群の体躯を有しているのは。あそこまで並外れた容姿を持つ女を少なくとも紗英子は一人、知っている。
そう、小学生時代からの親友宮澤有喜菜である。直輝がこちらを向いているのに対し、女の方は背を向けているので、紗英子の方からは容貌までは判別がつかない。