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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
紗英子は未練がましく、まだ希望的観測を抱いていた自分を嘲笑った。
かつて夫婦で使っていた寝室に脚を踏み入れると、紗英子のベッドの上に腕時計が置かれていた。凜工房の時計、紗英子が去年のクリスマスに結婚記念日の祝いを兼ねて彼に送ったものだ。
思えば、あれはまだほんの一年前にすぎない。去年のクリスマス・イブの夜、二人だけでささやかなパーティをし、プレゼントの交換をした。その後で、直輝は情熱的に紗英子を求め、二人は幾度も愛を交わした。
たった一年が過ぎただけだというのに、自分はひとりぼっちになってしまった。
一体、自分の何がいけなかったというのだろう。我が子を持ちたいと願い、代理出産を選択したことが、大切な夫を失わなければならないほどに悪かったのだろうか。
広いベッドに置き去りにされた時計が彼の決意を何より象徴している。
かつて夫婦で使っていた寝室に脚を踏み入れると、紗英子のベッドの上に腕時計が置かれていた。凜工房の時計、紗英子が去年のクリスマスに結婚記念日の祝いを兼ねて彼に送ったものだ。
思えば、あれはまだほんの一年前にすぎない。去年のクリスマス・イブの夜、二人だけでささやかなパーティをし、プレゼントの交換をした。その後で、直輝は情熱的に紗英子を求め、二人は幾度も愛を交わした。
たった一年が過ぎただけだというのに、自分はひとりぼっちになってしまった。
一体、自分の何がいけなかったというのだろう。我が子を持ちたいと願い、代理出産を選択したことが、大切な夫を失わなければならないほどに悪かったのだろうか。
広いベッドに置き去りにされた時計が彼の決意を何より象徴している。