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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠ 
 直輝は夕べ、紗英子のその凍った身体に火を点し、彼女の中の官能―女である感情を目覚めさせたのだ。そして、女であることに気づいたときに、紗英子の夫への想いもまた再び芽吹いた。
「紗英子」
 唐突に直輝の声が耳を打ち、紗英子は現実に引き戻された。
「あなた」
 吐息のような声が洩れた。
 今更だが、昨夜の自分の乱れ様を思い出して、恥ずかしい。まともに夫の顔を見られなくて視線を逸らすと、直輝の黒い瞳が光を放ち、真っすぐ射貫くように見つめていた。
「良かったよ、とても。それに、俺の腕の中であんな風に乱れる紗英子が物凄く可愛かった」
 確か紗英子が直輝に服を脱がされ、生まれたままの姿になっ時、彼はまだ服を着ていたはずだ。あまりに烈しい情事に流され翻弄され、直輝がいつ服を脱いだのかさえも憶えていない。
 今、当然ながら、彼は裸であった。一糸纏わぬ姿で、紗英子のプレゼントした凜工房の時計だけを腕に填めている。
 鍛え抜かれ、引き締まった身体に腕時計だけ身につけている―、その姿が何故かとても淫らでエロティックに思え、紗英子はカッと身体の芯が熱くなった。
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