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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠
夫に愛される妻。夫のことを何でも知っていると自負している自信に満ちた妻。
だが、果たして本当にそうなのだろうか。自分は夫について―直輝のことをすべて知っているといえるのか。
紗英子の中で拭いようのない疑念が生まれた瞬間であった。
紗英子は目まぐるしく思考を働かせた。こういう場合、夫をあからさまに責め立てたり、追及したりしてはいけない。確か、女性週刊誌の〝夫の効果的な操縦法〟特集に書いてなかったか。
「ねえ、一つだけ訊いても良い?」
紗英子は甘えるような口調で訊ねた。
「うん、何だ?」
直輝を見ても、特に警戒している様子はない。
「有喜菜って、直輝さんの家に遊びに行ったことがあるんだって?」
重くならないように、あくまでもさりげなく。紗英子は自分に言い聞かせ、言ってから夫の横顔を盗み見た。
しかし、直輝の表情は少しも変化はしなかった。全く不自然なほどに。
また、わずかな間があり、直輝がぼそりと返した。
「そんなこともあったっけ」
「まさか、付き合ってたりしたとか?」
だが、果たして本当にそうなのだろうか。自分は夫について―直輝のことをすべて知っているといえるのか。
紗英子の中で拭いようのない疑念が生まれた瞬間であった。
紗英子は目まぐるしく思考を働かせた。こういう場合、夫をあからさまに責め立てたり、追及したりしてはいけない。確か、女性週刊誌の〝夫の効果的な操縦法〟特集に書いてなかったか。
「ねえ、一つだけ訊いても良い?」
紗英子は甘えるような口調で訊ねた。
「うん、何だ?」
直輝を見ても、特に警戒している様子はない。
「有喜菜って、直輝さんの家に遊びに行ったことがあるんだって?」
重くならないように、あくまでもさりげなく。紗英子は自分に言い聞かせ、言ってから夫の横顔を盗み見た。
しかし、直輝の表情は少しも変化はしなかった。全く不自然なほどに。
また、わずかな間があり、直輝がぼそりと返した。
「そんなこともあったっけ」
「まさか、付き合ってたりしたとか?」