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真夜中の贈り物
第8章 クレヴァスガーデンの淫らな花壇 前編
※ ※ ※
「う……痛てて……」
意識を取り戻したキオが最初に気づいたのは、気温の変化だった。
「あったけぇっ……なんだここ? ……う、うおおおっ!?」
驚いたのも当然、そこには一面の緑が広がっていたのだ。
空と雪以外何もなかった世界から、熱帯雨林とでも見紛うばかりの景色。
切り立った地肌を覆うツタ類、生い茂る大きな葉の植物。色とりどりの大きな果実を実らせている樹木。咲き乱れる花。それも一種や二種ではない。目に眩いほどの色彩を以て生命が溢れていた。
「ここは……?」
あたりを見回す。
エヌフィーヌの姿はない。
離れ離れになってしまったようだ。
眼前の森に降り注ぐ光を追って目を上げると、狭い隙間から青空がのぞいていた。
どうやら、雪の下に隠されていた裂目(クレヴァス)に落ちてしまったらしい。
登ることができるかと、岩壁に手をやる。
「熱っ!」
地肌は思いもかけない熱を帯びていた。
どうやら空気が暖かいのは、地にこもった熱のせいのようだ。
「う……痛てて……」
意識を取り戻したキオが最初に気づいたのは、気温の変化だった。
「あったけぇっ……なんだここ? ……う、うおおおっ!?」
驚いたのも当然、そこには一面の緑が広がっていたのだ。
空と雪以外何もなかった世界から、熱帯雨林とでも見紛うばかりの景色。
切り立った地肌を覆うツタ類、生い茂る大きな葉の植物。色とりどりの大きな果実を実らせている樹木。咲き乱れる花。それも一種や二種ではない。目に眩いほどの色彩を以て生命が溢れていた。
「ここは……?」
あたりを見回す。
エヌフィーヌの姿はない。
離れ離れになってしまったようだ。
眼前の森に降り注ぐ光を追って目を上げると、狭い隙間から青空がのぞいていた。
どうやら、雪の下に隠されていた裂目(クレヴァス)に落ちてしまったらしい。
登ることができるかと、岩壁に手をやる。
「熱っ!」
地肌は思いもかけない熱を帯びていた。
どうやら空気が暖かいのは、地にこもった熱のせいのようだ。