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真夜中の贈り物
第2章 教官は世界の果ての 前篇
「ちょっ……ちょっと待って下さい!」

「何?」

「そのっ……」

「その、何?」

「そのあの……っ」

「?」

 女博士は平然とした顔つきで、シートの俺を見下ろす。
 この人だってかなりの美人だ。それに女なのに……

 なんでそんな話をして平気でいられるんだ?

「……どうしたの? 黙っていてはわからないわ」

「う……ええと」

 ツッコミたい事がいっぱいありすぎて、何から質問すればいいかわからなくなってしまった。

「……ボクも年頃の男なんですけれど」

 何を言っているんだ俺は。
 だが、意味不明のこの言葉にユリカさんは真面目に返事する。

「そうね。外見的、生理的にもそうだし、あなた自身が記入した書類上の経歴から見てもそれは明らかね」

「そうじゃなくて……そういうことではなくて!」

「じゃあ何?」

 くそっ……。

 だが、彼女のビジネスライクな対応のおかげか、落ち着いて少し頭がハッキリしてきた。
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