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真夜中の贈り物
第11章 マタニティー・リターナー
そして、今。
氷堂の魔手の届かない遠く離れた地の隠れ家で、咲良はキョージの愛を一身に受けている。どこに潜伏しているのかは知らないが、キョーイチもまたこうしてまめに連絡をくれて色々と二人の生活をサポートしてくれている。
「ああっ……ンアッ! イ……ク……イッちゃいます。オマンコ……オマンコ……もう」
身にしみついた絶頂予告の躾けが、咲良の口からこぼれた。
「愛してるぞ、咲良……俺はお前のために全てを捨てたんだ……」
「キョージさん……私も……キョージさんの為に……ああっ……捧げますっ! 咲良の全部……捧げますっ!」
キョージの唇が愛する女の唇を求めて彷徨う。それに振り向いて答える咲良。
二人はひとつ。
いや。
――おっ、俺もイクぜ……ああっ! 咲良ちゃん……エロいイキ声聞かせてくれよ! 絶頂してる咲良ちゃんを思い浮かべてイクからヨォッ!
二人だけではない。
二人だけではここまで来れなかった。
(ありがとうキャプテン……みんな……! そして……)
舌を吸われながら、暖かい慈愛の光が咲良の胸に広がっていく。
心地良い、まるで地平線の彼方から来て、そのままもう一方の地平線の先へと吹き抜けていく風のような。
「ああっ……イクッ! イッて……しまいます……あはぁっ……アアーッ!」
キョーイチとの通話を切り、再び二人は同じ場所に手を当てて体を寄せ合っっていた。
「咲良……その子供が誰の種なのかなんて事は俺にはどうでもいいんだ……俺は……俺は、咲良を守るよ。咲良と、生まれてくる俺たちの子を」
キョージの呟き声をまどろみの中で聞きながら、咲良は思う。
(キャプテン……必ず助けに行くから。この子を……授かった命を無事、生み落としたら、すぐ)
二人だけではない。
二人だけではここまで来れなかった。
(だから、待ってて……)
咲良は静かに目を閉じた。
《マタニティー・リターナー 了》