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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ
※ ※ ※
(う、ここは……?)
月明かりの差し込む広間のカビ臭い湿った匂いの中でノヴァリスは意識を取り戻した。
「ようやくお目覚めかい? ノヴァリス隊長様よぉ……」
聞き覚えのある声。
手を縛られて床に転がされている自分を見おろして、ニヤニヤとした気味の悪い笑みを浮かべている副隊長。
「……アサージ!」
他の兵士たちもいたが、皆、ノヴァリス同様に自由を奪われて転がされており、二本の脚で何事もなかったように立っているのは彼だけ――そして、その背後にいる十数人の粗野な身なりの男たち。
野盗だ。
ノヴァリスの記憶が一度に甦る。
(そうだ……私たちは襲撃を……)