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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ
一介の兵士にすぎない自分を標的になどとは思って見ないことだった。
驚いて眉を上げるノヴァリスを見て、フェリックスが言葉を補う。
「正確には、お前の持つ鍵に用がある」
そう言って、フェリックスは再びアサージに一瞥をくれる。
「……聞いたぞ。兵舎の武器庫の鍵を管理しているのは隊長だそうだな。みだりに開けられないよう、隊長だけがその隠し場所を知っていると聞く。欲しいのはそれだ」
「武器庫の鍵……」
フェリックスの言う通り、それは確かに隊長が肌身離さず身につけることになっている。そして他の誰にも渡さない。
「武器庫の鍵を手に入れてどうしようというの? 何を企んでいる!?」
内心の動揺を押し隠し、顔を強張らせてノヴァリスは尋ねた。
しかし、フェリックスはそれを見透かしているかのように鼻で笑う。
「ふふっ……勇ましいな、まるで取調べだ。だが、立場が逆なのをお忘れではないかな」
「くっ……」