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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ
かつて断頭台で多くの無実の市民が処刑された。
それはノヴァリスも知っていた。彼女がまだ子供の頃の話だ。枢機卿が実権を握ってからは断頭処刑は封印され、かつて王都の広場にあった処刑場の巨大なギロチン台は封印されたままだ。
「……俺は誓ったよ。処刑場で親父の首が胴体から転がり落ちる光景を前に。この国を変えてみせる。親父の血を、そのために流れる尊い最初の血にしてやると」
フェリックスはノヴァリスに向き直ると、ゆっくりと歩み寄った。
「この館はかつて姉が閉じ込められていた娼館だ。父が捕えられた場所だ。野盗となった俺が最初に襲撃して奪い取ったものだ……お前ら貴族どもからな」
「あ……あなたは憎しみで混同しているのよ。全ての貴族がそんな風では……」
「そんなことはどうでもいいのだ。盗人が貴人のフリをしてはばからぬ世だというのであれば、誰しもが盗人たらんとする。ハハッ……きれいごとを言うつもりはない。俺も同じだよ、あの寄生虫どもとな! 欲しいものは奪って手に入れる。たとえそれが平和や正義であってもな」
「なっ……何をするの!?」