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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ
なんと残酷で、哀しいことだろうか。
姉を想うフェリックスの無念と、怒りが理解できた。
そして、それをノヴァリスの肉体へぶつけたところで、何が変わるものではないということを彼自身よくわかっているのだということが、その腰の動きから伝わって来る。
辱めるでもなく、恨みを込めるでもなく、ただ繋がるために、ノヴァリスの中の彼は動いた。優しく、愛おしむように。
痛みは失せ、やがてそれは棘の生えた茎の先に咲きこぼれる大輪の薔薇の可変のように、ノヴァリスを魅了する甘い蜜の感覚へと変わる。
「ん……あっ……くふぅっ……ああん……ああっ……ああん……」
蜜に酔った女王蜂の羽音のような喘ぎが彼女の口から漏れ始めると、処女をいたわるような摩擦が、次第に次第に大く、そして速度を早め出した。
「ノヴァリス……! わかるか? 言葉の時間は終わりだと言った意味が……! 感じるか、この俺を!」
「ああんっ……! かっ……感じる……フェリックス……あなたがわたしの中で……あっ……ああっ……ああんっ……愛している……私を……愛してくれているのね! これが……あっ……ああっ……本当に、ひとつになるということ……知らなかった……!」