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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ

 いきなり、がきっと太い腕に抱きすくめられ、その汗ばんだ筋肉の緊縛の中で、ノヴァリスは膣内の男の脈動を感じ、子宮の中に熱い子種が注がれるのを察知した。

 浸み込む熱の飛沫が自分を犯す。
 言葉通り、ひとつに溶け合うふたつの生命。

 びゅぐっ……びゅぐぐっ……ぎゅるるるるるるっ!

 絞るようなそれは、いかなる動力によるものか。そしてどちらの肉の震えなのか。

 腹の底から込み上げる悦びが指で味合された以上の、果ての先の果てへと彼女を飛翔させる。

「うあ、あああっ……フェリックス……ああっ……私……私っ……ああっ……イクッ……! んはああああっ……いくぅうぅぅううぅぅぅぅぅぅぅぅっ……イッちゃうううううううううっ!」

 がくがくと踊るノヴァリスの身体を、天に昇さらせはせぬとでもいうかのように、全身で強く抱き締め、繋ぎ止めてくれるフェリックス。

 それは囚われの身でありながら、彼女を不思議な安心感に包ませた。

 余韻もにまどろむ余裕も与えぬほど絶頂に、ガクリと意識を飛ばした彼女の身体を受け止め、優し寝台の上に横たえた後、フェリックスは呟いた。

「許せとは言わぬ……だが、俺は……誰かに伝えておきたかったのかもしれない」

 目を閉じた彼女の頬にそっと口づけをして、その指先から紋章の入った指輪を抜き取ると、彼は衣服を整え部屋を立ち去った。

 それが鍵であることには、気づいていたのだ。
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