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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
学園までの通学路の途中の、いつもの長い急坂。今日は一気に登り切る。
それは、彰と一緒ではなかったから。
(彰の奴……寝坊してなきゃいいんだけど)
いつもこの坂の途中でヘタレて自転車から降り、公園でひと休みを主張する幼馴染のことを思い出す。一緒なら一緒でそんな風に世話が焼けるし、そうでなければそうでないで、こうして心配になってしまう。
本当に迷惑な奴!
恋人でもないのに……と、亜優は勝手に腹を立てる。
それなら一緒に通学などしなければいいのだが、自分はどうして毎日あいつと……?