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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
(べ、別に……特別なことじゃないわ。昔からずっとそうなんだもん。それに家が近くて、通う先も同じなら……一緒に通学くらい……するよね)
なんだか少し言い訳がましいが、まあいいか。どうあれ、今日からしばらくの間は彰と肩を並べての登校もなしなのだ。
行き交う人の姿がまだない通学路を、スイスイと滑るようにして校門まで辿り着き、自転車を降りた亜優は、守衛室の中に声をかけた。
「おはようございます! 演劇部の水城亜優です。講堂、開けてもらえますか?」
「おや、早いねえ?」
顔をのぞかせた守衛のおじさんが、鍵を手に笑って言う。
「ええ、朝練なんです」
名門と呼ばれるこの桜坂すめらぎ学園の演劇部において、亜優は今度のコンクールの舞台に一年生の中でただ一人だけキャストに抜擢された。
そんなわけで、自主トレーニングのため、いつもは一緒に登校する彰を置いて、一人だけ早く出てきたのだ。
なんだか少し言い訳がましいが、まあいいか。どうあれ、今日からしばらくの間は彰と肩を並べての登校もなしなのだ。
行き交う人の姿がまだない通学路を、スイスイと滑るようにして校門まで辿り着き、自転車を降りた亜優は、守衛室の中に声をかけた。
「おはようございます! 演劇部の水城亜優です。講堂、開けてもらえますか?」
「おや、早いねえ?」
顔をのぞかせた守衛のおじさんが、鍵を手に笑って言う。
「ええ、朝練なんです」
名門と呼ばれるこの桜坂すめらぎ学園の演劇部において、亜優は今度のコンクールの舞台に一年生の中でただ一人だけキャストに抜擢された。
そんなわけで、自主トレーニングのため、いつもは一緒に登校する彰を置いて、一人だけ早く出てきたのだ。