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Memory of Night
第7章 夏祭
そんなことを考えながら、晃はつい、その白い肌に見惚れてしまっていた。
「ゆかた」
宵が短く催促して、晃は我に返って再び宵の腕に袖を通した。
「ゆかたの着方知ってる?」
「知らねーよ」
晃から視線を外し、不機嫌そうに宵が言う。
「着せてやるからそんな顔するなよ」
なだめるように言って、晃がゆかたの前を少しはだけさせ宵の胸元にそっと口付ける。
瞬間、弾かれたように宵が振り向いた。
「何もしないって言っただろ……っ」
「言ったっけ?」
小さく笑う晃。
それから裾をきちんと合わせ、宵の腰の辺りを柔らかな紐で縛った。まだ帯ではないようだ。
「多少キツめに縛るけど、我慢してね? 緩いと崩れてきちゃうから」
体を触られ、撫でられる。
それは決していやらしいものではないが、触れられる度にまるで条件反射のように体を強張らせてしまうのだ。
晃は、手慣れた様子でゆかたを着せていく。
きっと、和服好きだという母親の着付けを手伝ったりしているのだろう。
ゆかたを着終えるまでのたった数分が、宵にはとてつもなく長い時間に感じられた。