この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night
第7章 夏祭
使用時間はたったの三分ほどだったが、とてもそうは思えない出来ばえだ。
きっと女性相手ならば喜ばれる。
ゆかたの着せ方といい髪型のセンスといい、晃は本当になんでもできる。
「どーも。宵の髪、均等に揃ってるわけじゃないから残っちゃったところもあるけど。まぁ、これはこれで――」
そこで一端言葉を止め、晃は宵の後ろから右手で腕と体を拘束するように抱いた。そして、もう一方の手で、宵の頬を撫でた。
「……っ!」
宵はカァッと顔を真っ赤にし、反射的に晃を振り向こうとする。
しかし晃はそれを許さずに、宵の顎を掴んで正面で固定し、自分の顎を宵の肩に乗せた。
そうして耳の側で、甘く囁いた。
「大和撫子みたいでお綺麗ですよ、宵お嬢様?」
「ば……っか! 変なこと言ってねーで離せよ!」
宵が身をよじるようにして、晃の腕から抜け出そうとする。
晃は楽しげに笑って、宵の首筋に口づけた。ちゅっと軽く吸い上げる。
赤く残った痕を指でなぞりながら、晃が言った。
「今日一日、宵は俺のもの。これはその印だよ」
目を細め、どこか愛しいものでも見るようにゆっくりとそう告げた。