この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night
第7章 夏祭

「ううん、違うよ。このお姉さんは俺のコイビト」
「ああ!? おまえ何勝手なこと……!」
ガバッと木に預けていた体を起こそうとした宵の口を、晃が容赦なく手で塞ぐ。
「う……んーッ!」
「どう? 美人でしょ?」
「うん!」
少女が瞳を輝かせながら大きく頷いてみせる。
それから宵を見て、「でも……」とつけ加えた。
何かを見定めるように、じーっと宵を見つめる。
その時、人混みの中からひときわ目立つ声が聞こえた。
晃が宵の口元から手を話し、声のした方に視線を向ける。
「あすかー! どこなの!? あすかー!!」
若い女性の声だ。
すかさず二人の目の前にいる少女が反応する。
「ママだ……」
キョロキョロと人混みの中を見渡す少女の視線の先を追うと、屋台のものらしい袋を下げた女性が、同じように辺りをキョロキョロ見渡しながら呼びかけていた。
「探してるみたいだね」
「おまえ、行った方がいいんじゃねーの?」
二人の言葉に少女は頷いたが、なかなか宵から目を離そうとはしなかった。

