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Memory of Night
第7章 夏祭

「……ありがと」
嬉しいかと聞かれればよくわからないプレゼントだが、少なくとも金を貰う時よりは、心なしか嬉しいと思えた。
自分を売って貰う金と、「プレゼント」として貰える髪飾りはやっぱり違う。
「腹減っただろ? 俺、なんか食うもん買ってくる」
なんとなく晃のそばに居づらくて、宵が立ち上がる。
もう一時を過ぎている。ちょうど昼飯の時間だ。
「ああ、なら俺が……」
「いい! 俺が買ってくる!」
「金は?」
「奢る!」
投げつけるように言葉を放り、有無も言わさずかけ出す。
ゆかたの裾をはためかせ、下駄の音を響かせながらかけて行く後ろ姿はどう見ても女の子にしか見えなくて、晃はその姿を見送りながらしばらく笑ってしまっていた。

