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Memory of Night
第7章 夏祭

 姫橋祭は夜がメインだ。御輿や出店などで昼間でも十分楽しめるが、夜はそれに加えて花火や神社でのイベントも行われる。
 ゆかたコンテストやはかまコンテストなども開催され、学生が一番来やすい時間帯でもあった。
 女装して祭に来ていることが知り合いにバレるのは死んでもごめんだという宵の意見を尊重し、七時前にはここを出ようと前もって決めていた。
 メイクまでしておいたわけだし、宵の正体がバレることはないと思うが念のため。

「帰るけど、ちょっと待って」

 めずらしく、宵が晃を引き留める。

「ん? まだ遊びたい?」
「そうじゃねーって」

 宵は歩を速めながら辺りをキョロキョロと見回した。
 おめんや掴み取りのガラスを宝石に見立てた物を売っているお店などに目を留め、微妙な顔をする。

「ああ。土産?」
「……つーか、おまえに髪飾り貰ったのに、俺、まだなんにも返してねーし。晃は何が欲しい?」

 宵の言葉に、晃が驚いたような顔をする。

「いいよ。そんなの別に気にしなくて」
「……おまえが良くても俺はやなんだよ。いいから言えよ?」
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