この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night
第7章 夏祭
(……クソ、遅ぇし! アイツ一体何やってんだ)
広い通りからわずかに外れた場所にある木陰に座らされ、すでに十五分が経過していた。
宵のイライラもそろそろ絶頂に達している。
話は三十分ほど前にさかのぼる。
高校の後輩である二人の女性徒に見つかってしまった晃は、あの後その生徒達からキャーキャー攻めにあったのだ。
女装がうまくいっていたのか宵の正体はバレずに済んだが、その代わりに勝手に晃の彼女だと認定されてしまった。激しい嫉妬、あるいは羨望の眼差しを向けられ、いろいろと質問された。
話をしたら声やしゃべり方で男だとバレてしまいそうで生きた心地がしなかったし、第一晃の彼女と思われること自体冗談ではなかった。
どうにか交わして逃げたが、その後も何度も学校の生徒に見つかりなかなか祭を抜け出せなかった。
宵の正体に勘づく生徒もちらほら現れ、最終手段だと、晃は宵をここに待たせてカモフラージュの道具を探しに走っていってしまったのだった。