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Memory of Night
第8章 花火

 宵の声はどことなく虚ろで、表情のない声だった。
 ぽつりぽつりと、落とすような声。
 晃が宵を見る。
 空中を彩る花火と宙に浮かぶホタルのせいで、宵の表情の一つ一つがよく見えた。
 どこかに影を潜ませたその顔は、思わず目を見張ってしまうほど綺麗だった。
 ふいに宵が、目線の位置を変える。

「バカみたいだと思わねぇ? 一度や二度の過ち、きっと誰にだってあるのに。罪滅ぼしみてーに俺みてーなガキ引き取って……。あの人まだ十九だったんだぜ。女ってさ、その頃が一番いろいろできる時期なんじゃねーの? トモダチなんかと遊び行ったり、買い物したり、男作ったりしてさ」

 宵の口調は、とても静かだ。
 問いかけるような言葉を並べても、下を向いたまま晃を見ようとはしない。
 まるで自分自身に問いかけているような、そんなニュアンスで続ける。

「なのに……俺みてーなガキがいたんじゃなんにもできねーじゃん。……それにあの人スゲー体弱くて、通院ばっかしてたんだ。薬も毎日飲んでたし。俺の養育費とか、学費とか、そーゆうのも全部稼いでくれてたから体の負担も大きかっただろーし……」
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