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Memory of Night
第9章 予感

 ――予感はしていた。振り返る前からなんとなく。
 そしてその予感は、残念ながら裏切られることはなかったようだ。
 振り返った宵の視界に飛びこんできたのは、晃だった。
 ゴン太の時といい、病院でばったり会ってしまった時といい、どうしてこうもタイミングが悪いのだろう。
 明の頭を支えベッドに横にしてやりながら、そう言えば明との関係を疑われていたこともあったっけと思い出す。
 だが、こんなふうにベッドの上で体を密着させているのを見ても、晃は何も言わなかった。
 目があった瞬間だけ驚いたように瞳を見開いてはいたけれど、反応はそれだけ。
 すぐに視線をそらし、保健室の隅のファイルや書類や保健関係の書籍が置かれた本棚へと歩いていった。
 一体何をしにきたのか。なるべく気にしないよう努めながら、明に毛布をかけてやる。
 貧血ということで、枕はせずに代わりに自分の腕を首にまわして支えながら、顔色を窺った。
 横にさせたため、徐々に顔色は戻りつつある。
 意識を失ってしまったのか目を閉じたまま反応しなかったが、とりあえず顔色さえ戻れば大丈夫なはずだ。
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