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Memory of Night
第3章 秘密
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学校からの帰り道、宵はいつもの通りをはずれ、人通りの多い町中を歩いていた。
しばらく行くと、枝分かれした裏通りに出る。宵はその通りを、複雑な道順で進んでいく。
迷いやすい場所だったけれど、宵には通い慣れた道だった。
そうして辿り着いたのは、『協立(きょうりつ)総合病院』と書かれた大きな病院だ。中に入ると、病院独特の薬品くさい匂いがした。
人が溢れる院内で、辺りを見回し宵は目的の人物を探した。
「宵くん?」
ふいに後ろから肩を叩かれ、宵が振り返る。
「先生」
来た時間帯が悪かったかもと一瞬思ったが、そうでもなかったらしい。
そこには、白衣姿の男が立っていた。
矢部弘行(やべひろゆき)。歳はまだ三十前半と若いが、腕がいいと評判の医師だった。
茶色い、少し癖のある髪と、まなじりのやや下がり気味な瞳が柔らかな印象を与えている。白衣が清潔そうで、『ハンサム』という言葉がよく似合う男だった。
そして弘行はある人物の主治医をしている。
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