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Memory of Night
第13章 吉報
宵は袋の中からそれらの物を取り出し、紙袋を明に手渡した。
「ありがと。じゃああたし帰るね。それ、大事に使いなよね。せっかくもらった物なんだから」
「……わかったよ。いろいろくれた人に、ありがとって伝えといて?」
「了解」
明はにっこり笑って、軽く手を振る。
「それじゃ、お大事にー」
来客用の椅子の上に置いておいた学生鞄を持ち、きびすを返す。
ドアノブに手をかけた明の動きが、ふいに止まった。
「あ、そうだ。もう一個頼まれてたんだった」
「……もういいって」
これ以上物をもらっても困る。
「いや、見舞い品じゃなくて。あんたに返しといてって頼まれたの」
「返す?」
一体何を返すというのか。誰かに何かを貸した覚えなんてなかった。
宵が不審に思っていると、明は紙袋を床に起き、先ほど煮干しを取り出したポケットとは反対側のポケットに手を入れた。
「うん。これ」
目の前で手を開かれて、思わず目を見開く。
「――四組の大西くんから」
明の、白い手のひら。驚いたことに、その中心にあるのは、祭の時に晃からもらった赤い髪飾りだった。