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Memory of Night
第1章 誘い

「そういう行為ってさ、楽しむものだろ?」
「……楽しむ?」
「うん。金でいろいろしてるってことは、それなりに慣れてるんじゃない? 『フツー』のことだけじゃ、飽きてこないのかなって」

 言葉を選んで遠まわしに言っているが、言いたいことはわからないでもない。

「別に」

 だが、宵は首を振った。
 宵にとってはあくまで金を稼ぐことが目的で、行為自体を楽しんだことは、ほとんどなかった。
 楽しもうとしたことすらない。
 晃はきっと、そういう遊びが好きなのだろう。
 ふいに晃が苦笑を洩らした。

「じゃあ……そうだな。金は君が俺の相手をしてくれた後で、君の言い値を払うってことでどう?」
「言い値を?」
「うん」

 晃が頷く。
 その顔は、クラスメイトを遊びにでも誘う時のような、やけにあっさりとしたものだった。
 見た感じでは、人のよさそうなマジメな優等生に見えるのに、裏ではかなり遊んでいるのかもしれない。
 そういえば、前に誰かに晃の両親は病院で働いているのだと聞いたことがあった。金だってあるのだろう。
 そうでなければ言い値で、なんてなかなか言えることではない。

(だったら……思う存分絞り取ってやる)
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