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Memory of Night
第5章 玩具
晃は宵の体を抱きかかえ、廊下を歩いていた。
クラスメイトには保健室に連れていくと行ってあるし、担任が覗きに来てしまう可能性もあるため気を失ってしまった宵を音楽室に放置しておくわけには行かない。
ふいに、腕の中で宵が動いた気がした。視線を向けると目を開けている。
「起きた? 体の調子は……」
言いかけて、言葉を止める。
宵の目が、晃を見ていないことに気付いたからだ。
まるで夢の中をさ迷っているような虚ろな眼差し。
「――さん……」
「え?」
細い腕が持ち上がり、白い手の平がそっと晃の頬を撫でた。
「……ごめん……志穂(かあ)さん」