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Memory of Night
第6章 再会

「……だったらどうする? 買う?」
「……ッ! なめんなよてめぇ!」

 宵の態度に男はキレてカァッと顔を真っ赤にした。宵に掴まれていた拳を強引にほどき、がっと振りかざす。

「宵……っ!!」

 弾かれたような晃の声が耳に届く。
 宵はちらっと晃を一瞥したが、すぐに金髪の男に視線を戻した。
 男の拳をかがむようにしてかわし、腕の内側にもぐりこむ。勢いよく振り上げた拳のせいで崩れた体勢を立て直そうともがく金髪のみぞおちめがけて膝で蹴り上げた。
 クリーンヒット!
 にぶい音と男のうめき声が、ほとんど同時に聞こえた。金髪の男が、腹を押さえてその場に崩れこむ。
 ほんの数秒の出来事だった。
 目の前の光景に、晃は壁にもたれかかったまま唖然と宵を見つめていた。
 宵が、紫の頭の男を捉える。睨みをきかせたわけではないが、男は顔を強張らせ何歩かあとずさった。

「……く、くそったれ! 覚えてろよなッ!」

 そうして何の捻りもない捨て台詞を吐くと、そのまま逃げていってしまった。金髪も腹を押さえてフラフラになりながらその後を追った。
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