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恋花火
第17章 Fall in love
「なにここ!!すごい!!」


さっきまで歩いてた怪しい繁華街や、駅から続いている商店街


そして遠くの方には、海が見えた。


その景色は、陸先輩の言うとおり


本当に疲れが吹き飛んでしまった。



「とても素敵な景色ですね。」

「でしょ?」


陸先輩はドヤ顔をしながら、すげーだろって笑った。


「ふふ。」

「ん?」

「陸先輩って、いつも笑ってますね。」

「え、なんかそれキモくね?笑」

「全然。まぁ部活中は笑ってないですけどね。むしろ怖いくらい。」



怖いくらい


こうして話をする前まで


陸先輩はずっと、怖いイメージだった。


部活中はニコリともしない。


仲間と言葉は交わすものの、笑った顔なんて見た事なかった。


なのに、今は


たくさんの笑顔をくれる。


たくさんの優しさをくれる。


「こっちおいで。」


そう言って、座らされたのは陸先輩の足の間。


後ろから抱っこされるなんて、なんか、めちゃくちゃドキドキする。


「……いつも、ここから見てたんだ。ほら、向こうに海見えんじゃん?」

「見えますね。」

「あそこらへんに菜月ちゃんちあるのかなーとか思って見てた。」


ドクン


今までドキドキだった鼓動が、ドクドクにかわる。


ドキドキの最上級。


「今、家の窓から海見たりしてるかな?とか。俺も同じ海見えてるんだよって思いながら見てた。」


私がなんも考えないでぼんやりしてる時も、こうして想ってくれていたの?


それって、なんだかすごく


___愛しい。


「……なんか俺、ストーカーみたいじゃね?笑」

「そんなことないですよ。笑」

「おい、なに笑ってんだ。そう思ってんだろー?」

「違いますって…あはは」

「……やっと笑った。」


なにげなく出たひとことにハッとする。


そういえば、陸先輩は告白してくれたとき、"笑ってほしい"って言ってたのに


私ってば、陸先輩の前ではいつも泣いてばかり。


振り返ると、二人の顔はすぐ近くにあって。


優しい目が私を見ていて


……ほら、また


泣きたくなるんだよ。





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