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恋花火
第19章 愛情オムライス
オムライスを食べ終え、おなかが満たされた海君はサッカーボールを持ってどこかへ出かけて行った。


「あいつ〜皿も下げないで行きやがって」


ブツブツ言っている陸先輩と並んでお片づけ。


こうしてると新婚さんみた〜い。


「オムライス得意って言ってたけど、よく作ったりしてるの?」

「結構作りますよ。オムライスはタケルが好きでよく…」


は!!しまった!!


タケルは元彼じゃないとはいえ、他の男の名前を出すってダメじゃない!?


しかもよく作ってたとか、全くいらない情報じゃん!!


どうしよう!!


すると陸先輩は、うはは〜って笑い出した。


「顔、出過ぎ出過ぎ〜」


顔!?


どうやら焦りが顔に出てしまっていたようである。


「タケルってオムライス嫌いだと思ってたよ。」

「え?なんでですか?」

「前にサッカー部でファミレス行った時に、オムライス食うなり不味いって言い出して、大量に残してたんだよね。」

「……そうなんですか?」

「そう。ドリンクバーで腹満たしてたよ。…きっと、菜月ちゃんのオムライスじゃなきゃ嫌なんだろうなー。」


ほんとはタケルはオムライスが大好き。


なぜか風邪を引くと必ずオムライスを作れと命じられた。


普通はおかゆとか食べるのに、タケルはいつもオムライス食べてた。


「……陸先輩にも、作りますよ?」

「マジ?作ってくれんの?」

「私のでよかったら……食べて欲しいです。」


そう言うと陸先輩はニコって笑って、やった〜って言った。


……無邪気な笑顔が、さっきの海君とソックリで、すごく可愛い。


こんなに優しくて神的包容力の持ち主の陸先輩を悲しませたりしたくない。


だからこれからは、タケルの名は絶対出さないように気をつけようと思った。
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