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恋花火
第21章 だって好きだから
タケルはいつも、私が好きになった人のことは大抵良く言わない。


私もわざわざ告白する前にタケルに確かめちゃうという。


中二の時に付き合っていたリョウ先輩のことは、ご存知の通りボロクソに言っていたし


中三のときに好きになりかけてた隣のクラスのダイちゃんも


高一の春休みに一目惚れした服屋の店員さんのことも


あいつ変な性癖ありそうとか、将来ハゲそうとか……


だけど陸先輩に関しては、下げるどころか上げてません?


「だって俺、陸先輩のこと好きだから。」


わあ!なんか今ビックリした。


あまりにストレートすぎて。


「……俺さ、中学のとき、部活の先輩とうまくいってなかったじゃん。」

「……うん。」


タケルは、小学校の時も、中学校の時もスタメンだった。


たまに怪我して試合に出れないこともあったけど、それでも必ずって言っていいほどベンチ入りをしていた。


それ故、スタメンに選ばれていない先輩からの嫌がらせはひどいものだった。


時にはスパイクをボロボロにされたり


時にはペンキで校舎の壁に落書きしたことを、タケルに罪をなすりつけたりしていた。


練習中も、わざとパスを出さなかったりと陰湿なものだった。


それに一度ブチ切れてしまったタケルは先輩をしっちゃかめっちゃかシメてしまい、停学処分からそのまましばらく試合に出してもらえないというペナルティも課せられたりした。


「だから、高校でもそうなるのかなって……ちょっと不安だった。」

「そういえばタケル、サッカーやるか悩んでたもんね。」

「そう。……でも三回目にサッカー部の見学行った時、陸先輩に話しかけられたんだ。」

「そうなの?」


またまた私の知らないエピソードが飛び出した。


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