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第1章 回顧

ふと思い立って、姿見の前に行く。

ああ、醜い。

見たくもない現実に目をそらしてから、どれだけたっただろう。
この数年、仕事が終わればお酒でストレスを解放してきた。
最初の頃はセーブしていたはずが、飲む量も増え、合間に伸びるつまみも簡易な、けれども油の塊に変化していった。

30才を超えた頃から、世間の言う通りスタイルをキープすることができなくなっていった。
それでもまだ少しはそんな友香を気に入ってくれる人もいた。
柔らかくて触り心地がいいと肌を撫ぜてくれる人もいた。
魅力あるよ、と夜を誘うためだけの褒め言葉を間に受けた。

数年前に比べ、体重は15キロ以上は増加している。


元々幼い顔立ちのせいもあり、顔には脂肪が付きにくかったおかげでなんとかごまかしてここまでこれた。

けれど。

服を剥ぎ取り、全裸になる。

なんて、汚い体。

姿見に映るその姿に嫌悪を覚える。

セルライトの溜まった太もも。
重みに耐えられなくなった以前よりも大きく育った乳房。
町で見かけるおじさんのように張り出したお腹。

痩せなくては、と思う。
けれど毎日に追われ、休みができたら、と言い訳を口にしてきた。
今さらこんな裸を誰にも見せられない。


友香は全裸のまま冷蔵庫に行くと、その中にあるビールやワインを全てシンクに流した。



明日から。
私は変わる。