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第4章 新天地

何も考えずに手に取ったスーツを着て、ふと友香は手を止めた。
今まではちょうどいい、どころか食事をしたばかりだと苦しそうにしていたはずのボタンが、するりとはまる。
それどころか、ダボっと隙間が出来ている。

友香は姿見に映った姿を見て、笑みを浮かべた。

まるで、新入社員みたい。
サイズの合わないスーツを身に纏った姿は、見慣れない。

クローゼットから別のスーツを取り出す。
ここしばらく、サイズが合わなくなりクローゼットの奥に埋もれていた。
でも、いつか着られるようになるかも、と定期的にクリーニングには出していた。
その行為が報われた。

一カ月前より1サイズダウンのスーツはぴたりと体に沿う。
それでもまだウェストには余裕がある。
幸先のいいスタートがきれそうだ。


この一ヶ月で体重は4キロ減った。
でも体重以上に体は成果を見せていた。

ウェストはくびれとまではいかなくても、醜く膨らんだお腹は下腹部が盛り上がる程度まで落とすことができた。
たるんで仕方のなかった二の腕も、パツパツに張っていた太ももも。
標準とまではいかなくても、もう姿見に映る姿を醜いとは思わない。