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やさしいんだね
第2章 情熱は二種類
 色黒さん。
 小百合とソンの間でそう呼ばれている大柄な男は、ソンいわく名字を松浦というらしい。
 小百合が名前で呼ばないのは、かつての自分の名字と偶然にも同じで、嫌な記憶が蘇るからだ。


「今日は急に呼び出したりしてごめんね。無理を言ったね」


 松浦はすでに自分の前で生まれたままの姿になっている小百合の透き通るような白い肌をゴツゴツした掌で執拗に撫でながら、ほぼお互いの唇が重なるくらいの距離まで顔を近付けて、静かに囁いた。

 一方ベッドの上で松浦に向かい合う形で座る小百合も、松浦の掌にすでに甘い快感を覚えつつ、それを隠すようにはにかみながら松浦のシャツのボタンを外していく。


「どうしても小百合ちゃんに会いたくなって」


 松浦との時間は18時半から20時まで。
 塾のテストは最終限目の21時半からだから、なんとか間に合いそうだ。
 考えてから小百合は現実問題から思考を遮断し、目の前にいる色黒で筋肉質な若い男だけを見つめた。

「ううん、全然平気。他の人なら断るとこだったけど、お兄さんだけは別だから」

 小百合は松浦の太い首筋に華奢な腕を回し、唇にキスをしてから言った。

「呼んでくれてすごく嬉しい。私も会いたかったの」

 小百合の言葉を受けて松浦はニヤリと静かに笑い、小百合の華奢な身体をベッドの上にゆっくりと押し倒した。
 日焼けした肌には対照的な白い歯が薄暗い室内に光っている。

「嘘ばっかり。誰にだってそう言ってるんだろ?」

 小百合の下腹部には、すでに準備の整った松浦のものが当たっている。小百合はそれを優しく握り、松浦を見つめながら自身の割れ目に押し当てた。

「ねぇ、わかる?」
「ハハ…すごいことになってるね。もしかしてよそで“仕事”してきた?」
「まさか。会えて嬉しいからこんなになってるんだよ。これでも私の言葉、嘘だと思う?」

 松浦は小百合を見つめ返したまま黙って腰を落とした。
 シーツまで濡らすほど小百合の期待が溢れていたため、何の遮りもなく二人は繋がり、小百合の口からは息が漏れた。
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