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純の恋人
第7章 真実の破片
 






 姉が家を訪ねてきたのは、私がひとしきり泣いた後、落ち着いてすぐだった。

「おはよう、純」

 そして、姉と共にやってきた『まー君』の姿に、私は固まってしまう。

 ビシッと着こなしたスーツ、真面目そうな面持ち。それは間違いなく、松永 雅樹――私の恋人を名乗った、三人の内の一人だった。

 ソファには姉と松永さん、テーブルの向かいには私と国重さんが、並んで座る。松永さんは改めてお辞儀すると、申しわけなさそうに切り出した。

「純、初めに、嘘を付いた事を謝らせてほしい。僕は純の恋人じゃなくて、真子の婚約者なんだ」

「お姉ちゃんの? なんでそんな嘘を……」

「それについては、おいおい説明するよ。とりあえず、時系列に沿って話そう」

 松永さんが語り出した私の半生は、昨日国重さんと推理したものと大差なかった。私は高校生の頃歌の楽しさに目覚め、父と疎遠になった。そしてその後父から「顔と素性を絶対に明かさない事」を条件に、マスカレードとしてプロデビューしていたと。

「僕は真子に頼まれて、純とバンドを組んだ。高校生だけじゃ、僕も真子も心配だったからね」
 
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