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純の恋人
第11章 過去から、未来へ
 
「そんなに焦らなくても、分かってますよ。だって私達は、相棒ですからね」

「だから、その恥ずかしい呼び方はやめろって言ってるだろ」

 国重さんは顔が赤くなったのを誤魔化すように、テーブルへ肘を付く。何回か照れてる姿は見たけれど、こんな時の国重さんは少しだけ親しみやすい気がする。私はジョッキを握ると、国重さんに向けた。

「乾杯しませんか? せっかく、久々のお食事ですし」

「乾杯って、もう俺の方はほとんど空けてるぞ」

「いいんです、こういうのは雰囲気なんですから」

 国重さんはしばらく眉をしかめていたけれど、ほとんど中身の残っていないジョッキを手に取る。

「それじゃ、乾杯です」

 まだ、全てが終わった訳じゃない。裁判が始まれば私も証言しなければいけないし、罪が確定しても、晴久さんは償う気持ちを持たないかもしれない。

 けれど、それでも時は進む。過去を振り返らず、前へ進んでいく。その中でまた過ちを犯す事もあるかもしれない。

 けれど、私は大丈夫。過去は変わらなくても、人は変われると知っている。そう教えてくれた人がそばにいるのだから。



おわり


 
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