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獣日和
第3章 浴室と淡い思い出

(一緒に入ろう……? 何を言ってるの、桜太……。そんな、恥ずかしくて一緒に入れるわけ……)
愕然とするふみに対して、桜太はニコッと微笑む。
「どうしたの? ずっと一緒に入ってたよね?」
「それは子供の頃でしょ!」
「子供の頃も今も別に変わらないし。もしかして……俺のこと男として意識してるの? ふみちゃん」
慌てて言い返すと桜太から不思議そうに質問され、ふみは戸惑いつつ言葉に詰まった。
「う……それは……」
桜太のことを男として意識しているわけがない。
桜太はただの幼馴染。弟のような存在でしかない。
そう確信していた。
そしてその確信はこれからもずっと変わらない筈……。
「意識してるってことは、俺のこと好きってこと……」
「意識なんてするわけないでしょ! 桜太は幼馴染なんだから!」
桜太の言葉を遮り、ふみはムキになったように話す。
何故ここまで意固地になるのか、その理由にまだふみは気づいていなかった。

