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獣日和
第3章 浴室と淡い思い出
「っ、桜太、何して……」
慌てながら、振り向いた。
しかし体は桜太の両腕に固定されたまま、顔だけ振り向かせることしか出来なかった。
そんなふみに対して、桜太はまたニコニコすると何事もなかったかのように話した。
「キスだよ。良いでしょ、別にこれぐらい。幼馴染なんだから」
「うっ……」
桜太の明るい声に、ふみは言葉を詰まらせてしまう。
2人にプロポーズされてから、ずっと理由にしてきた言葉。
“幼馴染”。“兄弟みたいな存在”。
その言葉が今自分を追い詰めてしまう事になるなんて、思ってもいなかった。
そして自分が幼馴染や兄弟みたいな存在だと理由にして、2人から逃げていた事にもやっと気付かされる。