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逆襲のフィメス
第9章 悶える女兵士
キーラとラフィンに連れられて、ログスがやって来たのはフィメス兵らの寝所のある建物であった。
南方辺境侵攻の足掛かりとして作られた砦である。そこらの森を伐採して得た木材による簡素な造りであったが、それは野営地のような一過性のものではなく、しっかりとした二階建ての兵舎であった。
搾精場と奴隷小屋を往復するだけのログスたちが普段立ち入ることも目にすることもない場所だ。
だが、ログスはどことはない違和感を感じ取っていた。
(……なんだ、この空気は?)
そう。どこからとなく甘ったるい匂いが漂う。よく熟れた果実を割ったような芳香。それが辺り一帯に満ち満ちていた。
それに、まばらに行き交うフィメスの兵士たちの挙動が、どことなく搾精場での様子と違う。足取り、腰つき、どれもが軽く、どこか艶やかに感じる。油断のない戦士然とした態度ではなく、皆一様に妖しい色香を身に纏っているのだ。
(俺は……俺は何を考えているんだ……こいつら……この憎むべき敵どもに、色気を感じるなど……)
南方辺境侵攻の足掛かりとして作られた砦である。そこらの森を伐採して得た木材による簡素な造りであったが、それは野営地のような一過性のものではなく、しっかりとした二階建ての兵舎であった。
搾精場と奴隷小屋を往復するだけのログスたちが普段立ち入ることも目にすることもない場所だ。
だが、ログスはどことはない違和感を感じ取っていた。
(……なんだ、この空気は?)
そう。どこからとなく甘ったるい匂いが漂う。よく熟れた果実を割ったような芳香。それが辺り一帯に満ち満ちていた。
それに、まばらに行き交うフィメスの兵士たちの挙動が、どことなく搾精場での様子と違う。足取り、腰つき、どれもが軽く、どこか艶やかに感じる。油断のない戦士然とした態度ではなく、皆一様に妖しい色香を身に纏っているのだ。
(俺は……俺は何を考えているんだ……こいつら……この憎むべき敵どもに、色気を感じるなど……)